相談役コラム
12.242024
時給1500円へ
今年の京都の最低賃金は50円引き上がり1058円となった。10月の求人広告紙は一斉に時給1060円となったが、韓国は全国一律で1104円である。
京都総評の働き掛けで京都地方最低賃金審議会は「中小企業・小規模事業者を対象とした消費税の減免措置や社会保険料の事業主負担分の免除・軽減等、賃上げの原資の確保につながる直接的な支援策を行政として実施するよう、政府に対し強く要望する」とした。
全労連は最低賃金の地域間格差解消をめざし、中小企業に対する特別補助などを創設して、中小企業とそこで働く労働者の社会保険料負担の減免制度などを実施することとしている。中小企業・小規模事業者支援策の強化、最低賃金の引き上げができる助成の拡充、公契約による地域内再投資を強化するために、中小企業憲章に基づき地域経済の主役である中小企業・小規模事業者への支援の拡充を、としている。
10月12日、日本記者クラブの党首討論で、日本共産党の田村委員長は石破首相に「賃上げについてお聞きします。自民党も最低賃金1500円を目標に掲げるようになったわけですが、本気で実現しようとすれば、中小企業への支援をどうするのか。ここが鍵になるというのは、もう誰もが認めていることです。ところが、総理は先日、国会での私との討論のとき、中小企業への支援を求めましたら「それは全体主義だ」とまで言って拒否された。アベノミクスで始まった賃上げ減税は、賃上げに対する法人税減税ですから直接支援だと思うんです。これで、トヨタ自動車は10年間で440億円もの減税の恩恵が受けられたわけです。黒字大企業には賃上げの直接支援をしながら、なぜ赤字でも何とか賃上げに頑張ろうとする中小企業・小規模事業者への直接支援について「全体主義」とまで言って否定されるのか、お答えください」
石破首相は「中小企業の皆様に対する賃上げが非常に重要だということは私もよく認識しております。いかにして価格の転嫁を容易にするか。そして中小企業と、ほとんどが下請けですから、それに負担をかけることがないように、きちんとそこを徹底した監視をすることをやっていきたい。田村さんがおっしゃってるように、中小企業の方々にきちんと賃上げが出来る体制は必ず整えてまいります。」
田村委員長は「言っていることと、やっていることが違うわけです。間接支援は言うけれど直接支援は言わない。岩手県はもう県独自の賃上げ助成をスタートさせました。徳島県も賃上げ助成を行なうと表明しました。しかし県だけでは限界があって、国の直接支援が絶対に必要だという声が既にいくつも起こっている。大企業には減税で直接支援をしながら、中小企業には事実上、自助努力を求めるという逆立ちした政策を転換しなければ、賃上げが進まないと指摘したいと思います。」と追求した。
日本共産党の「経済再生プラン」は、政治の責任で賃上げと待遇改善を進めるとして、アベノミクス以降で積み増した内部留保に時限的な課税をして,年2兆円5年間で10兆円規模の財源をつくり、最低賃金全国一律1500円を提案している。
最低賃金引き上げのための中小企業直接支援助成制度として、法人所得税の中小企業軽減税率(課税所得800万円まで税率8%)のような軽減制度を、社会保険料にも当てはめるべきである。
大企業と同率である社会保険料を列挙すると労使折半が健康保険料10.13%・介護保険料1.6%・厚生年金保険料18.3%で、こども子育て拠出金0.36%は会社負担、雇用保険料は会社負担1.15%、従業員負担0.7%、そして労災保険料は会社負担である。これらの社会保険料を大企業と同率ではなく50%軽減し、賃上げ原資の確保に頑張っている中小企業を支援するべきである。
ちなみに弊社総務の試算によると、社員総支給額平均月額は397,664円(賞与含めず)で、従業員負担社会保険料は一ヵ月分の50%減額は一人当たり29,885円、会社負担社会保険料は一ヵ月の50%減額は一人当たり33,389円となり合計63,274円の賃上げが出来ることになる。賃上げアップ率15.9%。平均月収46万円が実現できる。
2024年10月21日