相談役コラム
2.192018
太陽光発電
私たちの暮らしや経済は、石油や石炭、天然ガスなど化石燃料にその多くを頼っている。日本は、エネルギー自給率6%であるが、太陽や風・水・森林をはじめとする自然の中にある豊富な再生可能エネルギー資源が活用されずにある。
弊社は、販売用土地として仕入れた滋賀県マキノ白谷の土地が購入予定者の契約破棄で在庫商品となっていた。価格を下げて売り出したのだが、どうしたものかと思案していたのは3年前であった。土地は1400坪で一応整地され、5m道路に面して南南東になだらかな勾配があり集落の外れで、関電柱がすぐそばにあった。
それで、太陽光発電の情報を求めてDMや説明会に参加し、ネット等で調べた。
太陽光発電の高圧電気は、2012年から固定価格全量買取制度により20年間全量を電力会社が購入することが法律で決まっている。この買取価格は制度発足時は1kwh40円であったが、発電パネル等の価格が下落したことにより毎年見なおされ、2017年度は24円と下がっていた。弊社ビルの1kwh当たり平均電気料金単価は30円である。
2015年12月に設備業者より発電設備のシミュレーションと見積りが提案された。この土地では2m×1mの発電パネル310wを756枚並べて、最大電力175kw、年間発電量237,869kwh。設置容量は234.36kw、予想売電額は初年度616万円となっていた。弊社本社ビル年間電力消費量は3万kwh、91万円の約8倍、一般家庭66戸分、これは太陽光発電を計画した白谷集落すべての需要を賄える電力量である。年間の二酸化炭素削減量は160㌧となる。
2016年2月役員会で建設を決め、銀行融資は全額の5千万も決まり、返済は20年と希望どおりとなった。5月経産省への仮申請と関西電力の予備申請をし、7月に設備認定を取得した。
2017年1月関西電力と接続契約を交わし、高圧申請で電気設備管理主任技術者を地元の島田さんに依頼した。そして3月下旬に工事開始、現地やり方地縄張りとなった。基礎に1.8mの中国製スクリューを打ち込むが地中の石にあたり、掘り返しては建てていく。林立するスクリュー基礎にアルミ架台をボルト締めしていく。 冬期積雪が1m超ある地域での設置なので、雪が自然に落下するようにパネル勾配は通常倍の20度とした。また、降雪がパネル間に溜まるように間隔をあけた。そのため発電パネルの土地有効率は少し悪く
なるが、後々の除草や維持管理はやりやすくなる。
パネル設置と地中配線、高圧受電設備の設置がおこなわれ、ドイツ製のパワコン25kw7台の取り付けのあと、水路の改修や場内整地と260mの外柵整備も終わり、いよいよ通電となる。
5月8日発電所は竣工、島田さんと関電の職員とにより引き込み柱のトランスに通電スイッチを入れる。するとパネル蓄電池の電力がキュービクルに流れ、ブーンと音をたて配電網に接続した電力計の針が動きだしたのを見て、感動した。その後、会社から発電状況を監視出来る遠隔監視システムを取り付け、毎日発電量を確認して楽しんでいる。
当初から悩んでいた問題は、土地の除草方法であった。やり方は除草剤を蒔く、除草シートを貼る、他の雑草が生えないクローバーを育てる、山羊を放牧するなどあったが、環境にやさしく現地確認も出来る草刈りをすることにした。秋になると雑草が腰の高さまで生い茂り、乗用草刈り機「ヘイ マサオ」を購入して構内の草刈りを行なった。
発電開始からの220日の発電量は171mwh、CO2削減量120t、売電額460万円で投資利回りは8%、土地代込み利回りは6%となり、発電設備による減価償却で節税効果にも寄与している。
エコ発電事業は同友会が提唱しているエネルギーシフトの実践であり、弊社社外報秋号の巻頭で遊休土地の有効活用として太陽光発電が稼働したことを1600人に報じた。
2018年1月25日