相談役コラム

会長コラム ~同人誌『飛翔』に投稿したコラム集~

不動産事情

少子化で親から相続した土地建物が二軒ある、三軒あるのでと弊社に相談に来られる。また、使わない別荘地を処分したいとか、死亡による相続人から処分を依頼される。

依頼を受けた物件が市場性があればよいのだが、売れない別荘地や山林原野、金を払って耕作して貰っている農地、売れないような物件の場合は心苦しくも依頼をお断わりすることもある。

近年、主に収益を生まない相続物件で所有者が管理できない土地建物が増加している、一方でそのような物件を購入して収益物件に再生させて、賃料収益で生計を立てようとする人々がいる。

大学生が賃貸した部屋を民泊に転貸し、自分は新たな部屋を賃貸して、その賃料を民泊収益で賄っていた大学生がいた。大学生なら親の信用で賃貸借は簡単に出来ることからやったのだろう。こういうのを学生大家という。

また、サラリーマンが小金を貯めて、数百万の中古一戸建てや分譲ワンルームマンションを購入して、賃貸借に出し収益をあげる。さらに一部借入も起こして二件目を購入し、賃貸借に出す。そして頭金になる自己資金が貯まったら三件目、四件目と増やしていき安い賃貸物件なら数件持てば、暮らしていけるようになる。

物件価格と賃料見込み額で表面利回りが15%ぐらいあれば取り合いになる。10%ぐらいでも後の維持管理費がかからなければ人気がある。今の借入金利が1%以下が続いている元で、超優良物件ならば4%台で投資案件となる。

最終的には賃労働から解放され、不労収入で人生が送れる。こういう人々がサラリーマン大家。そのような専門雑誌も発行されており、弊社がインターネットサイトでそのような収益物件に化ける新物件を公表すると、問い合わせで最も早いのはそのような方々である。

50歳台で定年を迎えた戦前は、年金制度が無い老後の生活の為に借家を3軒持てば食べていけた。借家賃料は給金の3割くらいが相場であった。そのために現役の時代に給金を節約して、借家を一軒づづ増やしていくのが賢い生き方であった。二間間口の借家一軒は千円普請と云い、大店が万円普請を建てていると聞くと見に行ったものだと、親父から聞いたことがある。

土地価格は今のように相対的に高額ではなく、また大地主から借地も出来、地代も安いことから京都市中に沢山の借家が軒を連ねていた。落語や芝居に出てくる大家と店子の町屋借家が沢山建てられた。戦前はどこの町内でも持家は数軒しかなく、多くが借地借家の住まいであった。それらが戦時中の統制経済で地代家賃が低く押さえ付けられ、戦後の農地解放の民主的改革で借地借家人にごく低額で払い下げられ、多くが持ち家となった。

戦後の引揚者と復興で住まいが極端に足らなくなり、多くの公的賃貸住宅が建てられ、また民間のアパート建設がおこり、政府の持ち家政策で住宅事情は改善されてきた。

空き家が社会の関心を集めるようになったのは21世紀に入ってからで、京都市では1住宅2人台になり市内に10万6千戸の空き家、7軒に一軒が常時人の住まない住宅が発生している。

京都市は空き家条令(案)を発表した。骨子は「居住者のない住宅への居住を促進することにより人口の減少に歯止めをかけ、土地及び建物の有効活用を誘導するためと、居住者のない住宅が存在することによる現在及び将来の社会的費用の低減を図りつつ、その経費に係わる財源を確保するために」と、現状の居住用土地家屋に掛かる固定資産税を約2倍に引き上げる空き家税「非居住住宅利活用促進税」の創設が今、市議会で議論されようとしている。

 

2022年Ⅰ月27日

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