不動産部
7.222022
不動産部 よもやま話 Vol.15【寺町夷川の新しい看板】
弊社は、寺町夷川の東南角地に位置しており、現在、夷川通に面した角に家の形をした看板を設置中です。
この設置場所には、当初、不動産物件の掲示を行っておりましたが、当時は夷川通が一方通行ではなく車の行き来が激しかったこともあり、お客様の安全も考えて不動産物件の設置場所をもう少し西側に移動しました。
それから暫くはこの場所には何も設置しませんでしたが、一般的な2回目の看板から今回の3回目の看板に変更となりました。
そこで、今回の3回目の看板の特徴をご紹介させて頂きます。
今回の看板は、檜を材料として家の形をしており精巧に作製された看板となっております。
特に拘った点は、屋根を山なりに「むくり」を入れてその上には銅板葺として施工をしております。「むくり」とは、屋根の傾斜面が上方に凸状に湾曲している屋根のことです。板金屋さんも「むくり」が入ることにより仕事が複雑になると言っておられました。又、この「むくり」も屋根と破風板とでは、傾斜角度が変わっております。
施工した大工の中野さんによると一番苦労した点は、「鯖の尾」と呼ばれる技法だそうですが、破風板の破風尻(先端)の形状などに「鯖の尾」のように切目を入れる技法は、ノミで根気よく形を整えて行くのが、力も要し大変時間のかかる細かい作業だそうです。これは寺社建築の技術でもあるそうです。
屋根を支える小屋束も台形になっており、随所に大工さんの拘りが見られます。
看板の柱の下には左官仕上げで柱を巻き込んで束石を再現しておりますが、仕上がりの美しさに目を見張りました。
それにしても、この看板にこのような高度な技術が使われていたことは驚きで、大工の中野さんに聞き取りをして詳しく分かりました。中野さんによると今回の看板作製での技法を若い大工さんにも見てもらいたいとの思いがあったそうです。
では、皆様もご来店の際には、寺町夷川の看板を一度ご覧ください。
作 :不動産部 石原 淳