相談役コラム
5.242023
親の空き家の整理依頼
「親の家を処分したいので」とお電話を頂いたのは今から2年前の7月、得意先名簿には2017年3月物干し場波板張り替え、とありましたが記憶が定かでない女性からのご連絡でした。親御さん宅の所在番地をお聞きして机上調査をすませ翌日訪問させていただくと、街道沿いの古い民家でした。数年前にご両親が亡くなり、歩いて10数分のところに住むご依頼主のご長女が雨戸を開けて風を入れたりして時々管理されていたのですが、売却して兄弟に分けてあげたいとの意向でした。
弊社との関係は、ご依頼主のお隣で弊社が新築工事をしている時に、現場監督をしていた小谷部長にご依頼があり、物干し場波板張り替えをさせていただいたご縁で、人見建設通信が年2回送られてくるとのことで、それをご覧になっての依頼でした。
伏見区の街道沿いの木造二階建家屋で、間口が広く東側に家庭菜園用地があり敷地は80数坪ほど。ところが自己所有地は30坪ほどで、近所2軒からの借地と、京都市の旧道路用地が敷地内に通っており、一般にこの状態で売り出すには困難な物件なので、弊社にこのままの状態で購入してほしいとの依頼でした。
不動産査定書を作成し買取り金額を提案し、売買契約を結びご依頼主とご近所の地主訪問を行い、ご依頼主が事前に根回ししておられたので借地の購入の目処がたちました。市道路用地の払下可能性を田中土地家屋調査士と検討して、時間はかかるが道路整備の計画がない事で購入することが出来ると考えて測量からはじめました。
家屋にはまだ仏壇があり八月下旬、お寺さんにお願いして魂抜きを懇ろにとりおこないました。また道具屋を呼んでご両親が残された書額の買取をしました。9月より家屋解体にかかり半月ほどで更地となり、建物外周の積み石はトラック3台を弊社のマキノ発電所水路補修に使用させていただきました。
ご依頼主とは建物解体工事代金を相殺した売買決済をし、また依頼主ご兄弟の相続登記も完了して、甥ご様も含め3人に譲渡代金が分配されました。10月に敷地のほぼ半分40坪の貸地所有者から売買契約と決済を結ぶことが出来ました。12月にもう一方の貸地所有者から売買契約と決済を結ぶことが出来ました。
あとは京都市4筆払下土地を残すのみでした。現地立会までに翌年の7月までかかり、市への払下申請は10月、それから4ヵ月間の売却公示期間により今年2月に払下契約、決済代金の納付をすることが出来ました。
測量中に隣家の所有地がわずかに存在することが判明していて、0.1㎡の譲渡をお願いするのは気が重いものがありましたが、ブロック塀で囲われた長辺1m短辺20㎝から0の三角形を将来購入される方に其の侭にするわけにもいかず、ご協力をおねがいしました。面積の多少に関係なく、必要な手続きが発生しました。対象地の測量立会、元の土地の地積更正登記、そして分筆登記、銀行の抵当権の末梢登記をへて、3月10日売買契約と所有権移転登記と一連の業務が完了しました。
細分化された8筆の土地には、それぞれの地番と面積と違う地目、宅地・山林があり、一団のまとまった土地として整理し価値の向上をはかりました。また、占有地にあった賃借権、使用貸借状態の解消により所有の一体化をすることが出来ました。
ご依頼を受けてから1年10ヵ月、二回の草刈りも社員がしていましたが、売却看板を設置してやっと本格的な不動産売却活動が始まりました。
2023年4月25日